Message 学部長あいさつ

学部長あいさつ

学部長

小野 文慈

 佐賀大学教育学部は教員を養成することを目的とした学部です。特に本学部の特徴は「幼小連携教育コース」と「小中連携教育コース」で構成されており、いずれも幼稚園・小学校、小学校・中学校の複数免許を取得できることです。小中一貫校・義務教育学校に対応できる教員や幼児教育と小学校、また は小学校と中学校の接続教育にも柔軟に対応できる教員を輩出します。さらに特別支援学校の急増や共生社会の形成にむけたインクルーシブ教育にも対応できるように特別支援教育もしっかり身につけた教員を育てます。

 昨今、教員需要において現在の採用試験の倍率は減少傾向にあります。80年代に大量採用した教員が一斉退職を迎えたため、採用数自体が増加したことがありますが、若者の教員ばなれが一因にもなっています。長時間労働などの厳しい労働条件であることが社会問題化したことも影響していると思われます。教員の仕事は授業の準備、宿題やテストの採点、児童・生徒のフォロー、学校行事の準備、保護者との関係構築、地域活動など非常に多忙です。国際比較をしても週あたり授業時間以外に費やす時間は最大で、総労働時間が長い日本の学校現場は改善の必要があります。

 現在、文部科学省の通知により学校以外が担うべき業務、学校の業務であるが必ずしも教員でなくても担当できる仕事と仕分けが行われています。すなわち、このことは教員以外で対応できる業務は、地方公共団体、教育委員会、地域学校協働活動推進員、保護者、地域ボランティアなどへ委託していくということです。まずは、時間外労働をなくすために各学校は会議の短縮や業務の整理を行っていますがそれにも限界があり、かつて教員の仕事として認知されていた業務を社会全体が担って行く仕組みに変えるには時間がかかると思われます。

 本学部もその推進に主体的に関わり、附属学校園をかわきりに各学校と協働を図らねばなりません。さらにGIGAスクール構想に代表されるインターネットやAIの普及により教育現場もグローバル化の影響を受けて、これまでの教育方法は変換期がきており、ICTを有効活用して高度化を条件に教育内容も変えていくことが求められています。

 佐賀大学教育学部は教員養成のみならず、このような新しい教育方法にも対応し、そのような状況でも教員の負担を増やさないように働き方改革を注視しながら、ステークホルダーの理解と協力の拡充を推進する必要があると思っています。